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AI 時代のエンジニア転職市場が激変している理由と、これから求められる人材像

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AI 時代のエンジニア転職市場が激変している理由と、これから求められる人材像

はじめに

「エンジニアは引く手あまた」「プログラミングができれば食いっぱぐれない」――そんな言葉は、2025 年現在、もはや通用しなくなりつつある。AI の急速な普及により、従来の「技術力があれば安心」という常識が根底から覆されている。

この記事では、現役の採用コンサルタントである久松氏の証言をもとに、今のエンジニア採用市場で何が起きているのか、どんな人材が求められているのかを解説していく。

表に出ない転職市場の実態:リファラル採用の台頭

なぜ求人倍率が実態を表さないのか

現在の転職市場を語る上で、最も重要なのが「リファラル採用」の急増だ。リファラル採用とは、既存社員からの紹介や推薦によって人材を採用する方法のこと。友人や元同僚から「うちの会社、今こういう人探してるんだけど興味ある?」と声をかけられて転職するケースだ。

この採用方法の特徴は、転職サイトや人材紹介会社を通さないため、公式な統計データに一切現れない点にある。有効求人倍率(求職者 1 人あたりに何件の求人があるかを示す指標)などの数字を見ると「エンジニア採用市場は厳しい」と見えるが、実際には水面下で多くの転職が成立している。「意外とすぐ転職できたよ」という人の多くは、このリファラル経由だ。データに出てこないから、誰も発表ができない。第三者が関与しないため、転職市場の実態が見えなくなっている。

誰でもリファラル採用の対象になる時代

以前は、リファラル採用といえばミドル(中堅エンジニア)やシニア(ベテランエンジニア)クラスが中心だった。経験豊富な人材は業界内での人脈も広く、「あの人なら間違いない」という信頼関係が既に築かれているためだ。

しかし、現在ではこの流れが全体的に波及している。シニアやミドルは東京方面の勉強会などでエンジニアの繋がりがあったり、個別に「最近転職考えてるんだよね」と言えばそこ側でうまくまとまったりする。ジュニアエンジニア(経験の浅い若手エンジニア)に関しても、社内の紹介者の信頼貯金を使えば、割とギャップが埋められる状況になっている。

これは一種のオープンポジション(特定の職種を限定せず、その人に合わせてポジションを作る採用方式)のような形だ。企業側も柔軟にジュニアを採用していこうという姿勢が見えてきている。

ジュニア採用が増えている背景

ただし、ここで楽観視はできない。将来的に見た時、サービス開発において「このままのメンバーと AI でやっていけなくはないけど、頭打ちになる」という懸念がある。また、メンバーが退職したら大変なことになるという不安もある。

実際のケースとして、外部のパートナーとコンサルティング契約を結んで何かを達成したとしても、「それを受け止めるのは誰?」という問題が発生する。そこで、育成する余地のあるジュニアを採用し、教育込みでやってもらうという選択肢が出てくる。

AI 系の案件やデータドリブン(データに基づいた意思決定)関連の案件で枠組みを作った後、引き継ぎ先として教育とセットで採用するケースが増えている。なんだかんだ言って、ジュニアは使い勝手が良い。どういう方向にも成長させられるし、元々ちょっとやっていたという経験があればちょうど良い人材になる。

勉強会が採用チャネルになっている

最近、エンジニア向けの勉強会やセミナーが急増している。実は、これらの多くは単なる知識共有の場ではなく、企業の採用活動の一環として開催されている。

裏話的なことを言えば、特定の領域のレアポジションを採用したい時、そういう勉強会をやって近しい人を集めるという技がある。コミュニティ形成をしてコストを低めに採用するという戦略は、シニア層にも使える手法だ。プロダクトマネージャー(商品開発の責任者や企画担当者)などのポジションでも、こうした目的の勉強会が増えている。CTO(最高技術責任者)系の勉強会などが典型的だ。

勉強会バブルの陰り:費用対効果の壁

開催コストの現実

企業側から見ると、勉強会開催には相当なコストがかかる。夜中にやる勉強会は、ご飯代などで数万円程度で済む。しかし、日中にまともなスペースを借りたりするやつは、安くても 20 万円以上、高いものだと 200 万円くらいかかる。年間を通じて複数回開催すれば、場合によっては 1000 万円以上の投資になる。

しかし、ここで大きな問題が発生している。

同じ顔ぶれが集まる問題

勉強会を何度開催しても、参加者の顔ぶれが固定化してしまう。企業としては、新しい人材と出会い、認知度を広げ、将来的な採用候補者のプールを広げたい。しかし、実際には「来るメンツが被り続ける」という状況だ。

これでは費用対効果が悪すぎる。加えて、プロダクトの開発がその間スタッフの手で止まっているという問題も指摘する会社がある。株主から費用対効果の説明を求められて、それが説明できず、思い切って本数を減らしたという会社もある。

スポンサーとしてやっていると、特にしんどい。夜の業務後の勉強会ぐらいならまあまあ許容範囲だが、日中の大規模なものは負担が大きい。

オンライン開催の限界

オンラインで開催すればコストは削減できるが、交流ができないため、リファラル採用に繋がる人間関係が構築できない。結局、対面での交流に勝るものはない。

採用チャネルによって集まる人材の質が違う

リファラル採用で来る人の特徴

リファラル採用の最大のメリットは、既存社員という「フィルター」を通過していることだ。リファラルって、平たく言えば「自分、転職しようかなって思ってるんだよね」という告白ができる人脈がある人たちが使うもの。紹介する側も「この人なら大丈夫」という確信がなければ紹介しない。

成功のパターンとしては、「良いやついるんですけど、ジュニアだったら私が面倒見ます」という話をすると通る。逆に通らないケースは、「友達の友達なんですけど」みたいな、単に採用コストが安いというメリットしかない場合だ。そういうメンバーを採ると、脇が甘い会社になりやすい。

リファラル報酬の落とし穴

リファラル採用には報酬を出す企業も多いが、やりすぎると人材紹介業に抵触するリスクがある。実際にあった例として、1 人当たり 60 万円の報酬をもらい、1 年半で 15 人決めた社員がいた。彼の悩みは「基本給は上がらない」ということだった。リファラルをやり続けるしかない状態になってしまう。

一方で、マネージャー以上の評価制度の 15%は必ずリファラルや採用に寄与したかどうかを入れるというスタートアップもある。実際に成功事例もできていたが、やらされ感が強いと「それは嫌だ」と言ってその人が辞めるというトラブルも発生した。

この辺りを玉虫色にする施策として、なんとなくふわっと評価に反映させるという、ザ・日本人的な返し方をしている会社もある。こうした会社は、まあまあ採用はできている。

スカウト媒体や人材紹介で来る人の特徴

人脈がない場合、スカウト媒体(企業が求職者に直接メッセージを送る転職サイト)や人材紹介(人材紹介会社を通じた転職)を使うことになる。スカウト媒体を使う人は、何かしら転職したい明確な目標がある。

端的に言うと、その目標は「リモートワークと年収」だ。これはエゴイズムが高いとも言える。そうした状態で選考に乗って内定が出るかというと、そのエゴイズムが邪魔になる。

労働条件は重要なことだが、それよりも何よりも事業貢献やビジネスマインドが見られる。そこと自我を通すということが、割と競合する条件になりやすいため、決まりにくいという問題がある。

求められるエンジニア像の大転換

2022 年までの採用トレンド

以前であれば、スキルがマッチしているか、もしくはエンジニアの採用人数を確保するというのが第一目標だった。2022 年ぐらいまでは、ポテンシャルも含めてバクっと採用するというトレンドがあった。

2023 年以降:事業貢献とビジネスマインドへ

今は事業貢献やビジネスマインドが重視されている。どの辺りを見られるかというと、ベースとしての社会人基礎力(厚生労働省が定義する、社会人として必要な基本的能力)だ。この辺りを軸にしつつ、いわゆる「良いやつ」という基準でマスキング(選別)する会社もある。

その上でスキルマッチ(求人票と職務経歴書のマッチング)やカルチャーマッチ(企業文化との適合性)などを求めるが、ここで大きな問題が発生している。

求人票の細分化問題

求人票がどんどん細分化していっている。イメージとしては、SaaS(サブスクリプション型のクラウドサービス)の会社で医療系のところを展開しているとなると、「医療系のドメイン知識がある」と書いてあったり、EC(電子商取引)系の会社であれば「マルチテナント設計ができる」(複数の顧客が同じシステムを共有できる設計手法)と書いてあったりする。

皆、直ちにオンボーディング(新入社員がスムーズに業務に馴染むプロセス)して、2 週間ぐらいで立ち上がってもらいたいという下心が求人票に入りつつある。そのため、求人票と職務経歴書をマッチングさせるというスキルマッチの考え方は、もういい加減使えなくなってきた。

ポジションメイクという新しい発想

そこで、その部分を一回取っ払って、緩くオープンポジションのような形でお会いしながら、「その人だったらうちに合いそうだな」と思ったらポジションメイク(その人に合わせて職位や役割を作る)をする。「ポジションマッチからポジションメイクへ」という考え方を勧めている。こうしないと、誰も採用できない。

今、最も需要が高いエンジニアのタイプ

業務コンサル × AI ができる人材

その上で、需要が高くなりそうなエンジニア職種として、「業務コンサル」的な要素がかなり重要になっている。

BPaaS(ビジネスプロセス・アズ・ア・サービス:業務プロセス自体をサービスとして提供する形態)のような文脈で、お客さんのところや特定の部署に入っていきながら、業務フローを棚卸し(現状を整理・可視化)していく。その中でどうツールを当て込めば良いのか、今だと AI などを入れながらツールを作ったり、チャットボットを構築したりする。

それだけではダメで、教育もセットで提供してもらわないといけない。こうした業務コンサル、AI コンサルの辺りの流れがかなり需要がある。「IT エンジニアというよりは、営業色があって喋れる人、改善度が高く業務の理解ができる人」というところが最優先事項で採用されている。

DX や FDE という新しい役割

DX(デジタルトランスフォーメーション:デジタル技術による業務変革)もそれに近い文脈だ。結局、社内の業務を綺麗に回していきたい、かつ全員が AI を使って業務効率化をしたい。そこをエンジニアが担わなきゃいけなくなってきている。

例えば国内だとレイヤー X が始めている FDE(フィールドデリバリーエンジニア:顧客の現場に常駐してサービスを導入・定着させるエンジニア)。これは自社の SaaS を提供する時に、お客が使えるまで常駐しろというスタイルなので、言ってしまえば業務コンサルだ。

思っていたよりもだいぶ中まで入って、こう、吉(うまく)にやってくれという結構丸投げスタイル。それに適応できる人じゃないと、もう生きていけない。

AI 時代のエンジニア職種統合仮説

全員が「情シス」になる未来?

「AI でエンジニアってどういうふうに残るんですか?」という質問をよく受けるが、一つの仮説として、みんな最終的に情シス(情報システム部門:社内の IT 全般を管理する部署)になるんじゃないか、と考えている。

情シスはもちろん、パソコンや社内サーバー、社内 LAN などから始まって、どんどんイノベーションが起きるたびに、なんとなくその管理者をやってきた。SaaS が出てきた時もそうだし、クラウドが出てきた時もそう。モバイル端末もそうだ。

守備範囲がどんどん広がっていって、良い感じにみんなが便利に使えるようにオペレーションするという職種。あそこに統合されるのかなと考えながら見ている。

スタートアップ CTO の原点

スタートアップでよく言われている話だが、スタートアップの CTO の最初の仕事がインターネット回線を引くところから始まり、ルーターの設定とかをする。開発に特化したというよりは、色々便利にやってくれる人。その軸が「儲けに繋がる人」だ。

ビジネスマインドを持とうという方向。ビジネスとのディスカッションについてこれる人。言われたものを作るんじゃなくて、より良い意見を言える人。そんな感じの話をしている。

プロダクトマネージャーへの道

それで言うと、プロダクトエンジニア(事業の成果にコミットするエンジニア)みたいな方向性になる。その先はプロダクトマネージャー(商品開発全体の責任者)とか、そんな感じになる。

実際にあったケースとして、あるお客さんのところでメンバーのペルソナ(人物像)を分解していくと、全員が守り(既存システムの保守・運用)だった。みんな DX 向きという判断はできるんだけど、「誰が売上を作るプロダクトを作るんだろう?」という話になった。これは採用するか、社内の異動でなんとかなるのか考えないといけないという議論を最近したりしている。

つまり、DX 寄りなのか、マーケター寄りなのか。自分の給与がどこから来るか、よく考えましょうという話だ。

包括的スキルが求められる理由

ジョブ型雇用と AI のタイミングが最悪だった

細分化された専門的な作業をただやるというより、どんどん包括した、いろんなことができる人が求められてきている。なぜか?

ジョブ型(特定の職務に対して給与を決める雇用形態)の考え方がここ数年流行ったが、それと AI が流行ったタイミングが最悪の状態で重なってしまったと考えている。

ジョブ型は元々、「この職種をやってほしいからこれだけの給与を出します」という、年功序列ではない給与設定という意味で数年間使われてきた。逆に言うと、「この仕事をやってくださいね。他は目をつぶります」というスタンスがほとんどのジョブ型だったところに、AI が出てきた。その結果、そのまま AI に取って代わられる人材になってしまった。

メンバーシップ型雇用への回帰

FDE などもそうだが、もうちょっと前からあるプリセールス(営業とエンジニアの複合職:技術的な提案を行う営業)とか、営業プラスエンジニアみたいな話と同じだ。情シスとかはずっと前からそうしなきゃいけなかった。

そことジョブ型のところの住み分けが良くない。会社とディスカッションしていて、「このままメンバーシップ型雇用(職務を限定せず、幅広い業務に従事する日本型の雇用形態)に戻るんじゃないですか?」という話をしている。

新卒をどうやって育てるかという話をした時、今までは専門性を一本化してきたが、そうなると中間管理職が見えてきた時に「嫌です」と転職する人が出てくる。あとはジョブチェンジ(職種変更)を依頼しても「嫌です」と言ってまた転職する人が出てきて、非常に面倒くさい。メンバーシップ型雇用に戻すという考え方をしないと、これはスケールしない。セキュリティという特化した分野ですら、そんな感じだ。

AI 時代の新しい職種と混乱

AI に関する謎の職種が増えている

AI の登場で、またよくわからない職種が増えた。最近、リードアメリカ(アメリカの先進事例)を調べてノートのネタにしたが、AI の学習状況をホーム(全体的)な観点から教育するとか、それに対して調教(学習を調整)し続けるデータエンジニアみたいな職種もある。しかし、そんな人はいない。

結局、メンバーシップ型雇用で「良い感じにしてくれ」というのが、各社の落ち着くところだろう。

プロンプトエンジニアリングの矛盾

プロンプトエンジニアリング(AI に適切な指示を出す技術)と言ったところで、プロンプトを作るために業務知識がやっぱり必要になってくる。結局、ビジネスサイドがやった方が良いんじゃないか、という話もある。

最近、ある会社から「無敵のプロンプトを作ってくれ」という相談があった。どんな人が実行しても適切な求人票が作れるとか、適切なスカウトが送れるとか、そういうプロンプトを作ってくれないかという相談だ。

別にそれを受けることはできると思うが、「使ったらみんなバカになりますよ」と真剣にフィードバックした。何も考えなくなる。それが正しいんだと思うと、AI の家畜になってしまう。やめた方が良いと思う、と伝えた。

RPO の AI 化という衝撃的な話

最近、RPO(リクルートメントプロセスアウトソーシング:採用業務の代行サービス)が AI の家畜化しているという話を聞いた。

どういうことかというと、RPO がスカウトをする。求職者の方も AI で作ったプロフィールがある。AI 同士のやり取りをしていて、RPO の人は何をするかというと、AI にスカウトをさせるということを淡々とやるという話だ。

RPO 界隈は、顧問などもやっているのでかなり痛みが理解できる状況だが、媒体によってはオートスカウト(自動でスカウトメッセージを送る機能)みたいな感じになっている。

10 年ぐらい前は、スカウトはラブレターだった。一通ずつ魂を込めて書きましょうという話をしていて、本人のプロフィールを見て、職務経歴を見て、「あなたのここが良いからスカウトしました」というのを丁寧に書くのが価値だった。しかし、自動化し始めるとその価値がない。

じゃあ何をするかとなった時、日程調整、あとは人材紹介会社とのコミュニケーション。そこのところだ。「次、何するの?」というのは、彼ら彼女らにとってかなり大きな試練だ。

完全に作業化している。ここのところをちゃんと昇華して採用コンサルみたいなところまで行かないと大変だ。普通にエンジニアでもそれは出てきそうだ。いわゆる、ただの作業者だと AI の家畜化していく。

エンジニアを辞めたい人が増えている

カスタマーサクセスや営業職への転向

AI もあると思うが、エンジニアなんだけれども辞めたい人が増えてきたという話を聞く。実際に聞いたところでは、例えばカスタマーサクセス(顧客の成功を支援する職種)、あとは営業職。こういった周辺業務、IT は使うし知識はあった方が良いというところにキャリアチェンジを望む人が出始めている。

もったいない。せっかくプログラミングを勉強してエンジニアになったんだったら、絶対にエンジニアを続けた方が良いと思う。

キャリアの基本は「生存」

久松氏自身、元々研究者をやっていて、ゴリゴリのインフラ系の研究や BGP(インターネットの経路制御プロトコル)などの研究をやって、そこからビジネスの方に転向して、いつの間にかビルマネジメント(建物管理)に転がっていた。研究分野を見ていてもすごく思うが、「俺はこの技術で生きていく」というのは一見かっこいい。

でも、その技術が廃れた時、その技術と共に沈没してしまう。運が良ければ 10 年後、20 年後ぐらいにまた似たような技術が流行って帰ってきて、もう一回無双できるかもしれないが、その間、食っていかないといけない。

キャリアの基本は「生存」だ。

キャリアドリフトという考え方

だから、多少のキャリアチェンジとか、あるいは思い切り別の分野に飛び込むんじゃなくて、キャリアドリフト(徐々に方向転換するキャリア形成)という考え方がある。近しいところにスライドしていくようなイメージの形で、自分がより活躍できるような、「日当たりの良いところに移動する」と呼んでいる。そういう発想がすごく重要だ。

プログラミングに対するサンクコスト(既に投資してしまったコスト)は、多分皆さんあると思う。しかし、求人がないとやっぱり話にならない。ちゃんと自分の今までのキャリア、過去のキャリア、自分の強みなどを総合しながら、日当たりの良いところに移るというのが必要だ。

エンジニア知識が活きる隣接職種

昔からウェブディレクター(ウェブサイト制作の責任者・進行管理者)って元エンジニアが結構いる。あれもいわゆるキャリアドリフトだ。

ただやっぱり、エンジニアをやっていた知識があるからできることもある。カスタマーサクセスみたいなところでも、エンジニア知識があるからより良いサポートができる。なんなら、先ほどの FDE にもなれる。新しいところをちゃんとキャッチアップしながら、さっきの情シスという話に近いかもしれない。職種ごと吸収しちゃうというか。

この時代の波に乗り続けなきゃいけない。

IT 業界の変化速度という現実

自動車業界との比較

例えば自動車業界は、昔『ワンガンミッドナイト』(湾岸ミッドナイト:車をテーマにした漫画)に書いてあったが、20 年周期でトレンドが来る。機械でエンジン制御していた時代から電子化されて、その次は電気の時代だよという話があった。

自動車は 20 年周期で、かつ 20 年経ったらその作っていた車が直ちになくなるわけじゃない。メンテナンスなどの需要がある。

しかし、IT はめちゃくちゃ早い。「この技術だけで生きていく」というのは、フラグが立っているという感じがする。

まとめ:2025 年のエンジニアサバイバル戦略

今回、久松氏の証言から見えてきたのは、エンジニア採用市場の根本的な構造変化だ。

市場の変化

  • リファラル採用の全階層への拡大により、公式統計は実態を表さなくなった
  • 勉強会は採用チャネルとして機能しているが、費用対効果の問題で縮小傾向
  • ジョブ型雇用の限界が露呈し、メンバーシップ型への回帰が始まっている

求められる人材像の転換

  • スキルマッチングからポジションメイクへ
  • 専門特化から包括的能力へ
  • 技術者からビジネス貢献者へ

生き残るための条件

  • 業務理解とビジネスマインド
  • 営業力・コミュニケーション能力
  • 特定技術への過度な依存を避ける
  • キャリアドリフトによる柔軟な方向転換

AI 時代において、「この技術だけで生きていく」という姿勢は危険信号だ。キャリアの基本は生存であり、時代の波に乗り続けることが求められている。エンジニアとして培った知識を活かしながら、日当たりの良い場所へ移動していく柔軟性こそが、これからの時代を生き抜く鍵になる。