α7C IIのモードダイヤル1・2・3を「被写体が動くか」で使い分けて、街歩きのブレとピンぼけを減らす
もくじ
カメラは10年以上好きだ。ところが、作品としてどう撮るか、どんな設定にするかという目は持っていなかった。使っているのは、ソニーのミラーレス一眼 α7C II(レンズを付け替えられる小型のカメラ)である。
旅先で撮るのは、街を歩きながらのスナップが多い。歩く人を撮り、次の瞬間には建物を撮る。あとで見返すと、ブレた写真が多い。ピントが合っていない写真もある。人を撮るときと建物を撮るときで、その場で瞬時に設定を切り替えたかった。
1・2・3に「動くもの」「止まっている物」「暗い場所の止まっている物」を登録した
僕は、α7C II の上面にあるモードダイヤル(撮影モードを選ぶダイヤル)の 1 を動くもの、2 を止まっている物、3 を暗い場所の止まっている物に割り振った。この 1、2、3 の目盛りには、設定の組み合わせを3つまで登録しておける。ダイヤルを回せば、シャッター速度の決まり方やピントの合わせ方をまとめて切り替えられる。
- 1: 動くもの(歩く人、街の人、パレード)
- 2: 止まっている物(建物、風景、料理)
- 3: 暗い場所の止まっている物(夜の建物、暗い店内)
番号は「夜」「街」のような場所で選ばない。まず撮りたい相手が動くかで分け、止まっている場合だけ、明るさで2と3を選ぶ。
夜の街でも、歩く人を撮るなら1を使う。「夜だから3」とすると、人の動きがブレやすくなる。3は遅いシャッター速度を許す設定だからだ。
普段はダイヤルを1にしておき、止まっている物を撮るときだけ2か3に回す。撮り終わったら1に戻す。とはいえ、ここで決めた値は出発点にすぎない。撮った写真を見て、合わなければ直していく。
明るさとブレを決める3つの設定
シャッター速度は、撮影のときにシャッターが開いて光を取り込む時間である。1/30秒、1/250秒のように書き、時間が短いほど「速い」と呼ぶ。ほかの設定が同じなら、時間が長いほど明るく写る。代わりに、その間に撮る相手が動くとブレやすい。
絞りは、レンズの中で光の通り道の広さを変える仕組みで、その開き具合を F4、F8 のような F値で表す。F値が小さいほど多くの光を取り込め、同じ撮り方なら背景がぼけやすい。F値が大きいほど、手前から奥までピントが合って見える。
ISO感度は、取り込んだ光をもとに、画像をどのくらい明るくするかを決める設定である。ほかの設定が同じなら、数字を上げるほど明るく写る。ただし高くするほど、写真のざらつき(ノイズ)が目立ちやすくなる。
この3つは、どれか一つで足りない明るさを残りで補う関係にある。暗い場所で明るく撮りたいなら、シャッター速度を遅くするか、絞りを開く(F値を小さくする)か、ISO感度を上げるかのどれかになる。
そして、僕の設定の中心にあるのが「ISO AUTO 低速限界」という項目だ。ISO AUTO は、ISO感度をカメラに自動で決めさせるモードである。低速限界は、そのときカメラが ISO感度を上げ始めるシャッター速度を指す。低速限界を 1/250秒 にしておくと、暗くなったときにカメラは ISO感度を上げて、1/250秒 を保とうとする。明るい場所では ISO感度は低いまま、暗い場所でだけ上がる。
ただし例外がある。ISO感度を上限まで上げても明るさが足りないときは、低速限界より遅いシャッター速度になる(ソニーの公式ヘルプガイドにある仕様)。
つまり低速限界は「できるだけ、これより遅いシャッターは切らない」という、カメラとの約束である。暗すぎる場所では、約束より明るさが優先される。
ブレとピンぼけの原因は設定にあった
ブレには2種類ある。撮影中にカメラが動いて起こる手ブレと、撮る相手が動いて起こるブレだ。ピンぼけは、狙った場所にピントが合っていない状態を指す。
1/30秒のまま、歩く人を撮っていた
ブレの原因は、低速限界が 1/30秒 のままだったことだ。書き出した α7C II の写真を調べると、約4割が 1/30秒 で撮られていた。
1/30秒 は、止まっている建物なら手持ちでも撮れることが多い速さである。ところが歩く人にとっては長い。シャッターが開いている間に、手も足も動いてしまう。カメラは律儀に約束を守り、暗くなるたびに 1/30秒 まで粘っていた。約束を見直さなかったのは僕なので、誰も責められない。
ピントを合わせる場所をカメラに任せていた
ピンぼけについては、ピントを合わせる場所の決め方が「ワイド」のままだった。ワイドは画面全体からカメラが主役を選ぶ設定で、手前の柵や看板、人混みの中の知らない人の顔にピントが吸い寄せられることがある。カメラは見つけた顔に善意で合わせてくれる。ありがた迷惑である。
歩く人を撮るときにも落とし穴がある。シャッターボタンを半押し(途中まで軽く押すこと)してピントが合うと、その位置で固定する設定だ。この設定のまま相手が近づいたり離れたりすると、ピントが外れる。
だから、動くものと止まっている物で、シャッター速度もピントの合わせ方も変える必要があった。項目が多いので、1つずつボタンで変えていたら、その間に同行者は次の角を曲がっている。ダイヤルに登録したのはそのためだ。
1・2・3の中身
撮影モードはどの番号も「絞り優先」にした。モードダイヤルの「A」にあたり、絞りを自分で決め、シャッター速度はカメラが決めるモードである。ISO感度は ISO AUTO(100〜12800)で、手ブレ補正(カメラの揺れによるブレを抑える機能)はどの番号でも入れておく。
設定表に出てくる項目は、それぞれ次のことを決める。AF はオートフォーカス(カメラが自動でピントを合わせる機能)の略である。
| 項目 | 決めること |
|---|---|
| AF時の被写体認識 | 人の顔や瞳などを見つけて、そこにピントを合わせるか |
| 認識対象 | 被写体認識で何を探すか(人物、動物など) |
| フォーカスエリア | 画面のどこでピントを合わせるか |
| フォーカスモード | 合ったピントを固定するか、合わせ続けるか |
| ドライブ | 1枚ずつ撮るか、押し続けて連続で撮るか |
フォーカスエリアの「スポット」は、画面に出る小さな枠を自分で動かし、その範囲にピントを合わせる。M は枠の大きさが中くらいという意味だ。「トラッキング」は、指定した相手が動いても追いかけて合わせ続ける。フォーカスモードの「シングルAF」はピントが合った位置で固定し、「コンティニュアスAF」は半押ししている間ずっと合わせ続ける。ドライブの「連続撮影:Lo」は、連続撮影のうち間隔がゆっくりめの設定である。
| 項目 | 1 動くもの | 2 止まっている物 | 3 暗い場所の止まっている物 |
|---|---|---|---|
| 絞り | F5.6 から | F8 から | F4 から |
| ISO AUTO 低速限界 | 1/250秒 | 1/60秒 | 1/30秒 |
| AF時の被写体認識 | 入 | 切 | 切 |
| 認識対象 | 人物 | ― | ― |
| フォーカスエリア | トラッキング:スポット M | スポット:M | スポット:M |
| フォーカスモード | コンティニュアスAF | シングルAF | シングルAF |
| ドライブ | 連続撮影:Lo | 1枚撮影 | 1枚撮影 |
2と3の認識対象が「―」なのは、被写体認識を切るので使わないからだ。なお、この表のすべての項目が撮影設定登録に保存されるかは、僕はまだ確かめきれていない。
1 動くもの
低速限界は 1/250秒 にした。歩く人の手足のブレを減らすためだ。1/125秒 でも体の中心は止まることが多いが、振っている手足にはブレが残りやすい。代わりに ISO感度は上がり、ざらつきが増える。ざらつきは後から目立ちにくくできることもあるが、ブレた写真を元どおりにするのは難しい。走る人や子どもを撮るなら、1/500秒 まで上げる。
フォーカスエリアを「トラッキング:スポット M」にしたのは、人混みの中で誰を撮るかを自分で指定するためである。ピントの枠を同行者に重ねて半押しすれば、あとは同行者を追い続けてくれる。そこにコンティニュアスAF を組み合わせるので、半押しのまま構図を整えられる。
連続撮影にしたのは、表情や足の運びがいちばんよい瞬間を、数枚の中から選ぶためだ。自分の写真を見返しても、よい1枚は、似た写真が続く中に紛れていた。Lo にしておけば、少し押し続けても枚数が増えすぎず、あとで選ぶ手間が小さい。ただし連続撮影はブレを防ぐ設定ではない。ブレを抑えるのは低速限界の役目だ。
絞りは F5.6 から始める。街の中の人は、背景の様子も写っていたほうが場面が伝わるからだ。同行者だけを浮かび上がらせたいときや暗いときは、その場で F値をそのレンズの最小まで下げる(絞りを開く)。
1には注意点が1つある。暗い場所では、ISO感度が上限の 12800 まで上がっても足りず、1/250秒 より遅くなることがある。そういう場所で人を撮るときは、まず絞りを開き、半押ししたときに画面に出るシャッター速度を確かめる。
2 止まっている物
止まっている物なら、相手の動きによるブレは気にしなくてよい。そこで低速限界を 1/60秒 まで下げ、ISO感度を低く保つ。手ブレは起こりうるが、手ブレ補正が入っていれば、広い範囲を写すときの 1/60秒 は手持ちでも止めやすい。急いで撮ってブレが残るようなら 1/125秒 に上げる。
絞りの F8 は、手前から奥までピントが合いやすい値である。料理の一部にピントを合わせて前後をぼかしたいときは、F5.6 に開く。
被写体認識を切ったのは、建物の前を横切った通行人の顔にピントを持っていかれないためだ。「スポット:M」の枠は、手前の枝や柵ではなく、狙った壁面に重ねる。
3 暗い場所の止まっている物
止まっている物に限って、低速限界を 1/30秒 まで下げる。暗い場所で ISO感度が上がりすぎるのを抑えるためだ。
ここで大事なのは、1/30秒 そのものが悪者ではないことである。止まっている物なら、手ブレに気をつければ 1/30秒 でも撮れる。問題は、動く人にも 1/30秒 を使い続けていたことだった。だから3は止まっている物に使う設定にした。夜の街でも、人を撮るなら1に回す。
登録のやり方と、戻し忘れの防ぎ方
登録は次の手順で行う。
- モードダイヤルを A(絞り優先)にして、表の設定にそろえる
- MENU ボタンを押し、[撮影]→[撮影モード]→[撮影設定登録]を開いて、登録先の番号(1、2、3)を選ぶ
- コントロールホイール(背面の回るボタン)の中央を押して決める
呼び出すときは、モードダイヤルを 1、2、3 に回すだけだ。
ソニーの公式ヘルプガイドで、登録できる項目として名前が挙がっているのは絞りとシャッター速度である。ほかの項目が保存されるかは、実機で確かめるのが早い。登録したら、ダイヤルを 1→2→3→1 と回して、低速限界、被写体認識、フォーカスエリア、フォーカスモード、ドライブが意図どおりに切り替わるかを見てほしい。
番号を3つ使うと、回し間違いと戻し忘れが起きやすくなる。防ぎ方は次の3つにした。
- 撮り終わったら1に戻す。3のまま人を撮ると、1/30秒 まで遅くなってブレやすい
- 人を撮るときは、半押しして画面のシャッター速度を見る。遅くなっていたら、番号と ISO感度を確かめる。1でも、暗すぎる場所では速度を保てない
- その場で変えた値と、登録した基準を分けて考える。基準を変えたいときだけ、同じ番号に登録し直す
設定はClaudeとCodexに別々に考えさせて突き合わせた
この設定は、僕がゼロから考えたものではない。人工知能の Claude(Anthropic 社)と Codex(OpenAI 社)に、同じ撮り方を伝えて別々に案を出させ、突き合わせて決めた。機能の名前や選択肢は、ソニーの公式ヘルプガイドで確かめてある。
絞り優先で撮る、番号ごとに被写体認識とピントの合わせ方を変える、といった大枠は2つの案で一致した。割れたのは次のような点だ。
| 項目 | Claude の案 | Codex の案 | 採用 |
|---|---|---|---|
| 1の低速限界 | 1/125秒 | 1/250秒 | Codex。1/30秒 のブレが出発点なので、手足まで止まる側に寄せた |
| 2の低速限界 | 1/60秒 | 1/125秒 | Claude。手ブレ補正があれば止めやすく、ISO感度を低く保てる |
| 1のフォーカスエリア | カメラ任せ(ワイド) | トラッキング:スポット M | Codex。人混みで知らない人の顔に合うのを防げる |
| 3の役割 | 暗い場所の人 | 暗い場所の止まっている物 | Codex。暗い場所の人を撮るときに迷わない |
いちばん大きく割れたのは、3の役割だった。Claude の案だと、暗い場所で人を撮るときに1と3のどちらにも当てはまって迷う。Codex の案なら、最初に「相手が動くか」を問えば、動く相手はいつも1に決まる。明るさを考えるのは、止まっている物のときだけでよい。現場で迷う場面が一つ減るのは、ダイヤルを回す指にとってありがたい。
設定を場面ごとに分けるときは、どの場面もどれか一つにだけ当てはまるように、問いの順番を決めるとよい。そうすれば、迷わずにダイヤルを回せる。
おわり😊

